浮気を知り、怒りにまかせて別居してしまうと慰謝料の請求が出来なくなるかも知れません。辛くても苦しくてもしばらくは同居して夫婦関係を続けて下さい。
民法は、夫婦の一方が、異性の愛人と浮気・不倫をした場合の貞操義務違反の行為を「不貞な行為」と表現しており、離婚原因の一つとされています。
貞操義務とは、配偶者以外の異性と性交してはならないという義務であり、貞操義務違反とは、この義務に違反して配偶者以外の異性と性交することを意味しています。
この貞操義務違反行為が俗に言う「浮気・不倫」になります。
夫婦の一方が、異性の愛人と不貞行為(浮気・不倫)をした場合、損害を被った配偶者は、貞操義務に違反した配偶者と異性の愛人に対し、貞操権侵害による精神的苦痛の慰謝料として、損害賠償を請求することができます。
ただし、一方の不貞行為が原因で配偶者や浮気相手に慰謝料請求を行うためには、『配偶者の不貞行為(権利侵害行為)によって精神的苦痛(損害)を受けた』という権利侵害行為と損害との因果関係を損害を受けた側が証明しなければなりません。
つまり、「一方の浮気が原因で精神的苦痛を受ける結果になった」、あるいは「一方の浮気が原因で夫婦関係を続けることが出来なくなった」という原因と結果の結びつきが因果関係です。
精神的苦痛による慰謝料を請求するには、被害者であるあなたが裁判でこの因果関係を証明しなければなりません。
浮気を知って「カッ」となって家を飛び出し別居してしまうと、前項の「浮気と精神的苦痛の因果関係」の証明が難しくなるからです。
離婚問題や慰謝料請求でよく争いになるのが、「浮気が原因で苦痛を受けた」と主張すると、相手側は「浮気をした時点では夫婦関係はすでに破綻していた」と定番のような反論をしてきます。
つまり、相手側は「当時、夫婦関係は破綻していたのだから、浮気にはならない。だから慰謝料請求は無効とだ」いう主張を行ってきます。
●こちらの主張は、浮気→精神的苦痛→慰謝料よこせ!
▲相手方は、すでに婚姻破綻→浮気→浮気にはならないので慰謝料請求は認められない!
たとえば、カッとなって飛び出してそのまま別居期間が長くなるなどし、後々に離婚訴訟や慰謝料請求を行うために証拠を集めようとしても記憶が薄れていて証拠として重要な『年月日』を忘れてしまいがちです。
浮気を知った後もしばらくは夫婦関係を維持して、破綻していない実績を作った上で別居するのが賢明です。
こんな判例(最高裁判決)があります。
最高裁第3小法廷平成8年6月26日判決は、
「甲の配偶者乙と第三者丙が肉体関係を持った場合において、甲と乙との婚姻関係がその当時既に破綻していたときは、特段の事情のない限り、丙は、甲に対して不法行為責任を負わないものと解するのが相当である。
けだし、丙が乙と肉体関係を持つことが甲に対する不法行為となるのは、それが甲の婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益を侵害する行為ということができるからであって、甲と乙との婚姻関係が既に破綻していた場合には、原則として、甲にこのような権利又は法的保護に値する利益があるとはいえないからである。」
この判例は、 「籍が入ったままであっても、婚姻関係が不倫当時別居するなどして既に破綻していたときは、第三者(浮気相手)は妻に対して不法行為責任を負わない」と言う事実を述べています。
つまり、この判例の本質は、『婚姻が破綻して別居中の配偶者が、配偶者以外と肉体関係を持ったとしても、「不貞行為」とは認められない』ということを意味しています。
さらに簡単に言えば、夫婦の籍は残っていても別居などして夫婦関係が破綻した後は「浮気じゃなくて恋愛になる」と言っているのです。
相手側が「浮気をした時点では夫婦関係はすでに破綻していた」を主張してくる理由は、この判例を引用してうまく逃れようとしているのです。
この「夫婦関係はすでに破綻していた」とする主張を軽く一蹴する証拠が「浮気後の性交渉」なのです。
浮気をした日付がハッキリしていて、その日以降に性交渉があったことを証明できる日記やメモなどがあれば鬼に金棒です。
婚姻関係の破綻、夫婦関係の破綻と、言い方は様々ですが、簡単に言うと『夫婦の間はすでに壊れており、実質夫婦らしい共同生活を行っていなかった』という状態です。
具体的には別居やセックスレスです。
別居状態がもぅ何年続いているので「自動的に婚姻破綻認定」というような明確な期間はありません。
たとえば、お互いがが離婚に向けて話し合いを行っているとか、すでに家計が別々になっているなどの状況でなければ婚姻破綻とはなかなか認定されません。
相手の主張する「夫婦関係はすでに破綻していた」に対し、何ら抗弁(※)しないと先の判例のように浮気が原因とは認められなくなる恐れがあります。
抗弁(こうべん):相手方の主張を認めず、個別の事実をもって自己の主張を維持すること
不幸にして別居した後は、別居後も頻繁に会ったり連絡をとり、別居後も比較的良好な関係が維持できているような証拠を取っておきましょう。
良好な関係が維持されていれば、別居後も婚姻が継続していると裁判所が判断する場合があるからです。
裁判所は、「別居」=「婚姻破綻」とする一方で、「家庭内別居」=「婚姻関係の破綻」とはなかなか認めてはくれません。
損害賠償請求訴訟(慰謝料)
浮気を知り、怒りにまかせて別居してしまい、後にあわてて証拠を集めたのでは婚姻継続中の不貞行為である事実を立証するのが難しくなります。
辛くても苦しくてもしばらくは同居して夫婦関係を続けて下さい。
その間に浮気の事実や、婚姻が破綻していない事実などの証拠を集めておき、証拠が揃ったら別居してください。
婚姻が破綻していない証拠を得る方法はコチラ夫が浮気した! 離婚して慰謝料とるなら夫とのSEXは続けること!
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